インター歴6年でも通じない!?イギリス英語の壁にぶつかった娘たちの“新しい学校”初日レポ

教育制度&学校生活

転校初日の娘たちの感想は「先生の英語がよく分からない」

「え、先生の英語が、よくわからなかった。」

新しい学校の初日。

4歳と2歳からインターナショナルスクールに通ってきた娘たちから、思いがけない感想が返ってきました。

今年、私たちは新しい学校へと転校しました。

先生たちのウェルカム対応はとてもあたたかく、特に次女の担任は、大勢の新入生の中から迷いなく私たち親子を見つけて声をかけてくれるほど。

前情報をしっかり頭に入れて、子どもたちを迎えてくれる先生の姿に安心したのをよく覚えています。

ところが、帰宅して開口一番、娘たちが言ったのは――

「先生の英語がきれいすぎて、ちょっと聞き取りにくかった」

「むずかしい単語が多くて、よくわからないところがあった」

インター歴6年。英語もペラペラに話せる。

そんな娘たちがぶつかった、“イギリス英語の壁”。

これは、想像以上に大きな転校の洗礼でした。

【1日目】イギリス英語がきれいすぎて、耳がついていかない

新しい学校での初日。

娘たちはクラスに入り、さっそく授業を受け始めました。

お迎えの帰り道、ふたりが口をそろえて言ったのは、

「先生の英語、よくわからなかった」

「なんか、発音がすごくきれいすぎて、逆に聞き取りづらかった」

という言葉でした。

長女は4歳から、次女は2歳からインターナショナルスクールに通ってきました。

会話は英語で問題なくこなせるし、学校生活もすっかり慣れていたはず。

けれど、この日ふたりが感じたのは、「今までの英語とはどこか違う」という違和感でした。

先生が使う単語のチョイスが難しく、話すスピードもやや早い。

それに加えて、イギリス英語特有の発音が、

“耳が英語に追いつかない感覚”を引き起こしていたようです。

本人たちは言葉にはできていませんでしたが、

「なんか違う」「なんか通じない」と感じている様子が伝わってきました。

これが、“ネイティブ英語”と“インター英語”の違いを初めて実感した瞬間だったのかもしれません。

非英語圏インターの落とし穴

「英語が通じない」という感覚は、これまで娘たちが経験してこなかったことでした。

これまでずっと、学校では英語で授業を受け、先生ともクラスメイトとも英語で会話をしてきました。

いわゆる“インター育ち”として、周囲からは「もうペラペラだね」と言われることもよくありました。

でも今回の転校で、娘たちははじめて“本当の英語の壁”にぶつかることになります。

以前通っていた学校は、非英語圏の国にあるインターあるあるですが、メインティーチャーに英語ネイティブではない先生がいました。

英語は共通語として使われていましたが、先生も生徒も、それぞれに第一言語が違う人が多くいたんですね。

つまり、学校にいる多くの人が“第二言語としての英語”を使っていたのです。
もちろんネイティブの先生も複数いました。

その中で娘たちはスムーズにやり取りできていたし、困ることももうほとんどありませんでした。

でもそれは、お互いに“完璧じゃないこと”が前提の世界だったから

発音が少し違っても、表現が多少シンプルでも、それが普通でした。

今回の転校先では、それががらりと変わります。

先生の多くはイギリス出身で、教職経験が豊富な“英語のプロ”。

話すスピードも語彙のレベルも、自然と高くなります。

さらに、同じクラスの子たちも第二言語でありながら英語スキルの高い子が多かったです。
特に長女のクラスでは、長女が一番英語が下手という衝撃のスタートでした。

言葉だけでなく、“空気”そのものが違うと感じました。

文化の中に根づいた英語、日常会話のスピード感、イントネーション、

すべてが「これが本物の英語か…」と、親の私ですら圧倒されるレベルでした。

娘たちもきっと、言語というより「文化圏が変わったことへの戸惑い」を感じていたんだと思います。

それは、ただ単に“英語がうまくなればいい”では超えられない壁。

「通じること」と「通じ合えること」は、まったく別物だということに、私たちは初めて気づかされました。

【2日目】先生の読み聞かせが“わからない”──涙が出そうなディクテーション

2日目の放課後、長女は明らかに疲れた表情で帰ってきました。

最初はまだ緊張が続いているだけかと思い、

いつものようにお茶をいれて、おやつを食べながら話を聞きました。

しばらくして、ぽつりとこう言いました。

「今日ね、先生がstory bookを読んでくれたの。

その内容を聞いて、自分でまとめて書くっていう授業だったんだけど……

言葉が難しかったし、先生の英語がきれいすぎて、よくわからなかった。

だいたいの話は分かる。でも、“何を言ってたか”を具体的に書こうとすると、出てこないの。

それを聞いて、胸がギュッとなりました。

この数年、英語が聞き取れないと感じることはあっても、

ここまで“聞こえない”と感じたのは、おそらく初めてだったと思います。

さらに、その日にはもうひとつ出来事がありました。

長女は卵アレルギーがあり、学校にも「生卵(raw)はNG」と伝えていました。

給食について先生からアレルギーを確認された際、長女は「raw egg」と答えたそうですが、

その発音がうまく伝わらず、理解してもらえなかったとのこと。

困った長女は、とっさに「R-A-W, raw」とスペルで伝えたそうです。

それでようやく伝わったものの、“通じない”というショックは、心に残っていたようでした。

アレルギーの話をしていたのに!
しかも先生は「卵にアレルギーがある」という前情報はあったのに!

それでも「raw」が通じなかったのです。

言葉は話せる。でも、「本当に通じる」ってこういうことじゃないんだ

――そんな現実を、彼女自身が肌で感じた瞬間だったのかもしれません。

この日は、笑顔よりも、少し涙に近い1日でした。

【3日目】countingがcampingに?でも、笑って話せた

3日目になると、少しずつ学校の雰囲気にも慣れてきた様子の長女。

お迎えのとき、疲れ切った顔ではなく、どこかスッキリとした表情で車に乗り込んできました。

「今日はね、面白かったことがあったんだよ」と話し始めたのは、授業中のエピソードでした。

その日、“思いついた単語をひとつ言ってみよう”というアクティビティがあったそうです。

長女は、自信をもって「counting!」と答えたのですが、

先生はそれを「camping」と聞き取り、ホワイトボードにそのまま書いてしまったのだとか。

「あーまた通じなかった〜!」と、笑いながら話してくれる長女。

初日に感じていた「分かってもらえない」というショックとは違って、

“伝わらないこともある。でも、それも面白い”という空気が、少しだけ彼女の中に生まれていたようでした。

聞き返されたり、勘違いされたりするたびに落ち込んでいた姿は、そこにはなく、

「通じなかったら、また言えばいいか」

そんなふうに思えるようになったのかもしれません。

小さなすれ違いを、笑って話せるようになる。

それは、英語力だけではなく、“心の柔らかさ”の成長なのだと感じました。

【次女の視点】筆記体オンリー先生と宿題に挑む6歳

一方で、次女はというと、

まだ緊張感はあるものの、毎日少しずつ顔が晴れてきました。

3日目の夜、ランドセルの中から「これ、宿題!」と取り出したのは、

びっしりと筆記体が並んだ練習プリント

本人いわく、「先生は筆記体しか書かない」とのこと。

本当かどうかはまだわかりませんが、

クラスにはまだ通い始めて半年という子もいるそうなので、

全員が筆記体に慣れているわけではなさそうです。

でも次女は、「むずかしい」と言いつつも、

プリントを机に広げて、一生懸命にアルファベットをなぞっていました。

誰に言われたわけでもなく、「わからなくてもやってみる」姿勢が自然に出てきているようでした。

英語力が足りないからできないのではなく、

“慣れていないだけ”という前提で接してもらえること。

そして、できなくても否定されず、少しずつ慣れていく時間が保証されていること。

これもまた、子どもにとっては安心につながる大事な要素なんだと感じました。

“ネイティブと同じ英語”は簡単じゃない。でも、だからこそ意味がある

今回の転校で、娘たちははじめて

“英語が話せる”ことと“英語で生きていける”ことの違いを知ったのかもしれません。

ネイティブの先生たちの発音や言い回し。

クラスメイトたちのスピード感あるやり取り。

それらすべてが、これまで過ごしてきたインターとはまったく違って見えたはずです。

何年も英語で学んできたのに、通じない。

聞き取れない。

書けない。

その現実に、娘たちは小さく打ちのめされながらも、確実に前を向こうとしています。

言葉が通じなかったエピソードを笑って話せるようになったこと。

難しい宿題にも黙々と向き合おうとする姿。

それらすべてが、「本当の英語力ってこうして育つのかもしれない」と、私に教えてくれました。

子どもたちが進んでいく道に、親としてできることはそう多くありません。

でも、隣で迷いながら歩いていくことなら、できる。

まだまだ、わからないことだらけです。

でも、それでいいのかもしれません。

これからも、子どもたちと一緒に、分からなさごと楽しんでいこうと思います。

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