オーストラリアに来て、1年が経ちました。
子どもたちはすっかり現地の学校にも慣れてきました。
その成長をうれしく感じる一方で、ふと気になりはじめたのが——「日本語、大丈夫かな?」ということでした。
思い返せば、アジアの国に住んでいた頃は、そもそも補習校がなかったので“行かない”というより“行けなかった”という現実。
でも今はちゃんと補習校があって、通っているご家庭も少なくありません。
改めて、補習校という選択肢を考えはじめたタイミングでした。
ただ、実際に調べてみると、月230ドルほどの学費や土曜日の拘束時間、子どもたちの「学校は週5で十分…」という本音もあって、どうしても「うちにとって正解とは限らないかもしれない」と感じてしまったのです。
それならいっそ、まったく別の形で“学び”に向き合ってみようか。
そう思って、わが家は補習校に通う代わりに——「月200ドルの体験予算を、子どもに託す」というチャレンジをはじめました。
補習校に行かない理由
もともと私たちは、アジアの国に住んでいたときからずっと、
補習校には通わず、日本語はすべて家庭学習でまかなってきました。
というのも、当時は物理的に補習校が近くになく、通うという選択肢自体がなかったからです。
そして今、オーストラリアに移住し、
初めて「補習校が通える範囲にある」という状況になりました。
ですが、当初は現地校での新生活に慣れることを最優先にしたくて、
補習校には通わない選択をしていました。
それに加えて、うちでは平日の朝に日本語と英語の学習を1時間半ほどしてから学校へ行っているため、
子どもたちにとってはそのうえで土曜日も学校に行くというのは負担が大きく、
本人たちからも「行きたくない」とはっきり言われたのがきっかけでした。
ただ、現地校には日本人の生徒がまったくおらず、
家庭以外で日本語を使う機会がほとんどないという状況が続いています。
そのせいか、オーストラリアに来てからは、
子どもたちの日本語力が目に見えてゆっくりになってきたという実感があります。
決して「このままでいい」と思っているわけではありません。
子どもたちは子どもたちで、新しい土地で本当によく頑張っているし、
だからこそ、今はどうやってそのバランスをとっていくかに悩む日々です。
改めて補習校について調べてみると、
月にかかる費用は、うちの場合、子ども2人分で約230ドルほど。
現在は夫が単身赴任状態の二重生活をしており、
家計的にも“何でも習い事を自由に選べる”という状況ではありません。
もちろん、子どもが「これをやりたい」と思ったものには可能なかぎり応えてあげたいと思っていますが、
今のところ本人たちも「特にやりたいことはない」と言っていて、
私自身も、「これだ」と思える習い事には出会えていないというのが正直なところです。
だからこそ、補習校に通わないのであれば、
同じくらいの金額=200ドルを、もっと有意義な“学び”のために使えないか?
という発想が生まれてきたのです。
補習校の代わりに、月200ドルで“家庭でできる学び”を考えてみた
もちろん、補習校に通えば、きっと良い刺激も得られるだろうと思います。
でも一方で、「絶対に通わせなければいけない」という“マスト”な感覚は、正直あまりありません。
じゃあ、その分のお金——月に230ドルが浮くとしたら、
それをどうやって、わが家なりに“学び”や“経験”として活かせるだろう?
そんなふうに考えはじめたのが、今回のきっかけでした。
もちろん、他の習い事を探してみることも選択肢としてはあります。
たとえば、地元のスポーツチームや文化系のコミュニティに入ることも、
学校以外の世界に触れるという意味では、とても価値があることだと思います。
でも、今のところ、子どもたち自身に「これを習いたい!」という熱があまりなく、
私もいくつか提案してみたりしてはいるのですが、
今の子どもたちは、家の中で過ごすことや、
自分のペースで自由に過ごせる時間に心地よさを感じているようにも見えます。
うちは朝も早く、平日は学校へ行く前に日本語と英語の勉強時間をとっていて、
夜は7時には就寝する生活スタイル。
「習い事がなくてのんびりしている」というよりは、
自分たちの中で精一杯、リズムを整えて過ごしている、という印象があります。
だからこそ、今は無理に新しい習い事を詰め込むよりも、
“学び”をもう少し自由な形で取り入れる方法があるかもしれない。
そう考えたときに、ふとひらめいたのが、
月に200ドルを、子どもたち自身が
やりたいこと
行きたい場所
食べたいもの
などに使うための体験予算として託してみる!
というアイデアでした。
学校では教えてくれない、“家族で何かを一緒に選ぶ体験を設計する”という学び方。
それなら、きっと今のわが家にも合っている気がしたのです。
月200ドルの体験学習を子どもたちが自分で計画するルールに
月に200ドル。
これを“学びの体験予算”として子どもたちに託すことに決めたとき、
私の中でひとつだけルールを設けました。
それは、「何をするかは、子どもたちが自分で決めること」。
《条件》
・個人で使うのではなく、家族でできることに使う
・リサーチからコスト計算やスケジュールまですべて自分たちで調べて決める
つまり、「お菓子を買いたい」「ゲームがしたい」といった消費目的ではなく、
“体験”を家族で共有することに使うためのお金にしようと決めました。
それ以外のすべては、子どもたちに任せることにしました。
行きたい場所、やってみたいこと、食べたいもの、すべて自分たちで考えて調べる。
予算配分も含めて、ひとつのプロジェクトのように自分たちで設計していくのです。
たとえば、今のところ子どもたちが考えているのは「家族でサイクリングに行く」というプラン。
自転車は持っていないので、レンタルが必要になります。
どこで自転車を借りられるのか?
近くのレンタルサイクルショップまでのルートは?
そこまでは車か、電車か、バスか?
交通費はいくらかかるのか?
昼ごはんは外で食べるのか?家で済ませるのか?
時間配分は? スタート時間は?
——そんな細かいところまで、すべて子どもたちに任せてあります。
もちろん、危険があると感じた場合や、物理的にどうしても無理な場合は、
親としてきちんと「NO」と伝える必要はあります。
でも、それ以外の部分はできるだけ口を出さず、
“考える力”と“自分たちで進めていく経験”を積ませたいと思っています。
実際、今日 長女からこんな質問がありました。
「もしプランを立ててやってみた結果、200ドルを超えちゃったらどうするの?」
私は「それはいい失敗だよ」と伝えました。
なぜなら、200ドルを超えてしまうということは、
“どこかのコストを見落としていた”ということに気づけるチャンスだからです。
それを次に活かせば、もっと正確に計画を立てられるようになる。
まさに、そういう“発見”のためにこの体験をしているのだと思います。
そして、もし今月の予算をすべて使い切らなかった場合は、
余った分を次の月に繰り越しても良い、というルールも設けました。
たとえば、今月150ドルしか使わなかったら、
次の月は250ドルの予算として活用できる。
そんなふうに、“使い切ることがゴールではない”という考え方も含めて学んでほしいと思っています。
まとめ:我が家の選択とこれからのこと
補習校に通わないからといって、
日本語の学びを諦めたわけではまったくありません。
ただ、今のわが家のタイミングでは、
「別の形で学ぶ」という選択肢があってもいいのではないかと感じています。
私自身、アカデミックな学びや知識を積み上げることの大切さは強く感じています。
勉強で鍛えられる脳の部分というのは、確実にあると思っていますし、
決して軽く見ているわけではありません。
ただ、娘たちはまだ小学生。
遊ぶこと、ぼーっとすること、くだらないことでお腹を抱えて笑うこと。
そういった時間も、“学び”と同じくらい価値があると私は思っています。
子どもたちが「楽しい」と思いながら何かに取り組む。
それが結果として、良い学びに繋がっていた——
そういう積み重ねこそ、今の時期に大切にしたいことです。
サイクリングの計画を立てたり、予算を自分たちで考えたり。
それは一見、遊びのようでいて、
「考える」「工夫する」「伝える」「振り返る」という学びがぎゅっと詰まっています。
うちはたまたまこの方法を選んでいますが、
家庭の数だけ、学びの形もあると思っています。
「このやり方が正解」と思っているわけではありません。
でも、その家庭にとって“楽しく取り組める方法”が見つかれば、
それはきっと、最高の学びになる——そう信じています。
今回は、そんなわが家の一例として、
この“月200ドルの体験予算”の取り組みをご紹介しました。
誰かのヒントや励ましになればうれしいです。
👇️私は自分も学びながら子どもにも伝えていくスタイルなので、この本は今年の一時帰国で購入予定。

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