インターに通わせていたけれど…
インターナショナルスクールに通わせる=「英語漬けの毎日」。
私自身もそう信じていたし、海外に住む以上、それが当たり前だと思っていました。
けれど、現実はちょっと違いました。
ある日、娘が学校から帰ってきて言った一言が、私たち家族の進路を大きく動かすことになります。
「今日、クラスの子に先生の言うこと通訳してって頼まれた」
「…先生から、お願いされたんだよ」
え…?授業中に?子どもが?通訳を??
その日から、私の中の“インター神話”が音を立てて崩れていきました。
そして数週間後、私たちは別のインターに転校する決断を下します。
今回の記事では、
✔ なぜそのインターに違和感を持ったのか
✔ どんな出来事が決め手になったのか
✔ 転校してどうなったか
という流れを、実体験ベースでリアルにまとめました。
「インターに通ってるのに、なぜか英語が伸びない」
「子どもが学校で背負っている“見えない負担”が気になる」
そんな方には、きっと何かヒントになると思います。
次のセクションでは、最初に感じた“ささいな違和感”からお話していきます。
インターなのに日本語ばかり?最初の違和感
転校を考えるきっかけになったのは、“じわじわと感じる違和感”でした。
娘たちが通っていたインターナショナルスクールでの次女のクラスは、生徒の約3分の1が日本人。
しかも2クラスあるのに、なぜか次女のクラスに日本人が偏って多かったのです。
その時点で、次女は学校生活は英語で問題なく送れるレベルだったし、外国人の友達もすでに何人もいたので様子を見ていました。
そして、ある日気づいたのです。
「あれ?スナックタイムもランチタイムも、日本語で話してる…?」
しかも、それを先生もとくに止める様子がない。
まだ小さい年齢だからこそ、
毎日英語を浴びるようにして生活していれば、自然と英語力は伸びていくもの。
それがこの年齢の“特権”だと私は思っていました。
だけど、実際はどうかというと、
新しく転校してくる日本人の子どもたちは英語力がほとんどゼロのまま入学。
既にいる子たちと仲良くなるために、日本語で話しかける。
そして、その輪に次女も引き込まれる。
クラスでは日本語のほうが楽だから、自然と日本語時間が増えていく。
英語を使う場面が減ったことで、次女の英語の伸びもピタッと止まってしまいました。
日常生活ではそれなりにやっているけれど、「英語力が目に見えて伸びている!」という感覚はまるでなく…。
そのとき、私は思ったのです。
「あれ?ここ、本当に“インターナショナル”スクールなんだっけ?」
英語環境を求めてインターに入れたはずなのに、
日常の半分以上が日本語で回っていることに、強い違和感を覚えるようになりました。
そして――
この“違和感”が、次の衝撃エピソードへとつながっていきます。
子どもが“通訳役”?先生からのお願いに驚き
「この子が英語をわかっていない時は、日本語でフォローしてあげてくれる?」
――これ、長女が先生から言われた言葉です。
最初に聞いたときは「えっ?」と耳を疑いました。
通っていたのは「インターナショナルスクール」。
それなのに、授業の中で“通訳”が必要って、どういうこと?
しかも、うちの子が通訳役になるなんて…。
長女のクラスにはそれまで日本人がいませんでした。
コロナが落ち着き、徐々に長女のクラスにも日本人の子が一人二人と入ってきました。
その子達からすれば、長女は圧倒的に英語ができました。
でも、ネイティブレベルではありません。
にもかかわらず、「この子なら通訳できるでしょ?」と役割を任されたのです。
結果、彼女は授業のたびに日本語を話す子のサポートをすることに。
正直、そのときに思いました。
「これは、子どもに背負わせるべきことじゃない」と。
英語力を伸ばすために通っているはずのインターで、
日本語での通訳に時間と集中力を使ってしまうのは、明らかに本末転倒でした。
親として、このままではいけないと強く思いました。
誤解なきように言っておきますが、私は英語ができないのに、親の駐在で海外に行ってインターに入るのを反対しているわけではありません。
むしろ賛成派です。
なので学校に日本人の子が入ってくること自体が嫌なのではありません。
レベルは違えど、我が家も英語を習得し続ける必要があるし、そのためにわざわざ高い学費を払っています。
学校外で日本人の友達をフォローするならいくらでもします。実際に学校外に一緒に課題をやったこともあります。
ただ、学校側が長女に通訳させるというやり方に疑問しかありませんでした。
こうして、転校についての情報収集を開始。
そして「ここなら」と思える新しい学校を見つけ、数ヶ月後には転校を決断しました。
この出来事は、わが家にとっての“ターニングポイント”となりました。
「違和感を無視しないこと」――これは海外育児のリアルとして、伝えておきたいです。
校長の教育方針が決定打になった
友達を助けることはとても大切なことです。日本語で助けることも、あなたの娘にとって学びになりますよ。そしてそれが、英語力をも伸ばします。
長女が通訳係にされている件を担任→校長へと相談した矢先、校長からこういう内容の返信が来たのです。
- 日本語で助け合うことは “コラボレーション” であり、思いやりを学ぶチャンス
- 言語的ダイバーシティを尊重するため、同国籍の入学制限やクラス分散は行わない
一見きれいな言葉だけど、こちらの本質的な疑問――「英語を学ぶ環境として機能していない」――には一切触れていない。
私は、議論の余地なしと判断しました。
校長と向いている方向が違いすぎるということは私達家族にとって、ハッピーではありません。
私には、この校長は”第二言語として英語を学ぶということがどういうことか”という点において非常に理解が浅いと感じました。
“コラボレーション” と “学習機会の損失” は別問題
- 負担の偏り 長女だけが通訳を任され、授業のアウトプット量が目減り。
- インプット量の減少 日本語が授業内に混ざる → 長女も新入生も“英語耳”の成長が鈍る。
- 学校側のサポート不足 英語ゼロの子を受け入れるなら、教師主導の EAL(英語サポート)を用意するのが筋。
校長の回答は、そのどれにも具体策がなかったのです。
転校を決断 ―― 新しい学校はこう選んだ
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| チェック項目 | 妥協ライン | 重要度 |
|---|---|---|
| 生徒の国籍バランス | 1国籍30%以下 | ★★★★☆ |
| 公式EALプログラム | 週3コマ以上 | ★★★★★ |
| クラスサイズ | 最大20人 | ★★★☆☆ |
| 校長の教育ビジョン | “Immersion”を明言 | ★★★★★ |
実際に選んだのは…
- 少規模インター
- 英語ネイティブ教員比率 90%
- 授業についてこれる英語力が入学の条件
見学時に感じたのは、“英語を学ぶエネルギーが校内に循環している” という空気感。
授業中に日本語が飛び交うシーンはゼロ。休み時間は多国籍シャッフル状態。
そもそも、日本人が学年に1人いるかどうかという日本人率でした。
ネットにあまり情報が出ていなかったので、日本人界隈では非常にマイナーなインターだったのが良かったかもしれません。
転校後の子どもたちの変化
| 変化ポイント | Before | After |
|---|---|---|
| 英語アウトプット量 | 次女:★☆☆☆☆ | ★★★★☆(毎日Show&Tell) |
| 長女のストレス | 通訳係→⚠️高 | ✨低(自分の課題に集中) |
| 登校しぶり | 時々 | ほぼゼロ |
| 家庭内の会話ネタ | “〇〇ちゃんが…”(日本語) | “Guess what my teacher said today!” |
親としても「高い学費=学習投資」と胸を張って言える環境になりました。
まとめ:違和感は“行動せよ”のサイン
- なんとなくヘン… はたいてい当たる。
- 情報収集より 目の前の子どもの表情・伸び を見る。
- 学校は完璧じゃない。合わなければ変える権利は親子にある。
これが、わが家の転校ストーリーから得た最大の学びでした。
来年度から学校選びに動く方のヒントになれば嬉しいです。





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