オーストラリアはすっかり春です。
朝から暖かい日も増え、日ものびてきて気分も元気になりますね。
さて、そんなオーストラリアで春から秋にかけて子供のビーチアクティビティといえばNippersではないでしょうか。
我が家も一生に一回住めるかどうかと思っていたビーチの目の前に住めるチャンスが来たのでNippersに参加してみることにしました。
大体、ビーチごとにサーフクラブが運営しているようです。
私は、特に比較せず家の目の前のビーチでやっているNippersに申し込みました。
年齢別グループをさらに細分化
驚いたのは人数がとても多いです!
ですが、年齢ごとにキャップの色が決まっています。
スタッフも年齢ごとに配置されているようで、同じカラーのキャップをかぶっていました。
初日は、名前を伝えると自分のカラーのキャップと蛍光カラーのベスト型ラッシュガードをもらいます。
陸上のアクティビティ用につばのついた帽子ももらいました。
長女の年齢は参加者が80人ほどいるのですが、それをさらに4つのグループに分けて、グループごとにコーチがついていました。
この日は、さらに4人1組にして、まずは初日の緊張を解いてリラックスするためのトレジャーハントのようなアクティビティが行われました。
とてもオープンで温かい雰囲気
うちの子供達は普通にプールでは泳げるのですが、海のアクティビティは何も経験がないので私も緊張しながら初日を迎えました。
でも想像以上にスタッフの方達が温かく、優しかったです。
私がキョロキョロしていたら「何か困ってることない?」とすぐに声をかけてもらったり、
おそらく英語があんまりだったのがすぐに分かったのでしょう。
気にかけてくれていることが伝わり、とても嬉しかったです。
初日からガンガン海を泳ぐ
さて、陸のアクティビティを終えた子供達。するとそのままビーチにやってきて、どんどん海に入っていいきあっという間に足のつかないところを泳いでいきます。
もちろん、近くに何人もコーチの先生がレスキュー用サーフボードの上に乗って、子供達の安全をチェックしています。
子供達、かっこよかったです。
11歳とは思えない堂々とした泳ぎっぷりでした。
コの字型に泳いで帰ってきました。
うちの娘は海に入ったことは何度もあるけれど、足のつかないところまで泳いだことは一度もありません。
私も船で連れてってもらうスキューバダイビング以外で足のつかない海を泳いだことがなかったので不安な思いで見ていました。
足がつかない、進まない、怖い。
そうこうしているうちに、娘のいるグループも海へ入って行きました。
最初は頑張ってついていっていた長女も、途中からどんどんみんなから遅れていきます。
すぐに気づいてくれた近くのコーチが声をかけてくれている様子で、娘はコーチのサーフボードにつかまり、何やら話していました。
そしてサーフボードに登って、ボードの上で少しの間話しているように見えました。
すると、再び長女はボードから海へ戻りました。
そして、泳ぎ始めました。
でもすぐに、またボードへつかまって、今度はボードに乗ったら、コーチに波打ち際まで連れてきてもらいました。
恐怖心への向き合い方
戻ってきた長女に私よりも先に駆け寄る陸にいたコーチ。
初めての海で怖かったのでしょう。
長女はボロボロ泣いていました。
そこへ駆け寄ったコーチは
「怖かったね。すごく怖かったね。
でもあなたが今日トライしたことはとても素晴らしいことだよ。
怖くても入って泳いできたでしょ?それは本当に勇気のある素晴らしい行動なんだよ。
今日、あなたはとてもよく頑張ったし、とてもよくやった!
素晴らしいよ!
いいね?今日、最後まで泳げなかったことは何も心配いらないよ。
これからみんなで練習していけば絶対に泳げるようになるから怖がらないで。
何もプレッシャーに感じる必要もないし、何もストレスに思う必要もないんだよ。
大丈夫。絶対にできるようになるから。」
と、真剣に長女の目をまっすぐに見て言ってくれたんです。
その気迫が本当にすごくて。
プロのアスリートに本気のアドバイスをするコーチみたいな熱量なんです。
初めて会った初めて海で泳ぐことにチャレンジした小学生の女の子に対して。
その真剣なコーチと泣いている長女の姿に私の方が涙が込み上げてきてしまうくらいに。
失敗を感じさせない文化
コーチは、娘と話し終えると、私には何も言わずにアイコンタクトだけして去っていきました。
こういうシチュエーションって、日本では遭遇することがあまりないように思います。
コーチも親への気遣いもあって声をかける人が多いですよね。
それはそれで配慮の上でそうであるということは理解できます。
でも、子供としては、コーチから直接自分への言葉だけで十分なのかもしれないと、
この徹底された当たり前のように一人の人間として対応されている姿を目の当たりにして感動しました。
コーチにあんなにまっすぐに、
あんなに力強く、
あんなに間髪入れずに勇気づけられたら、
今日の自分の失敗は、失敗ではなく挑戦というポジティブなものに確実に変換されるなと思いました。
オーストラリア人や、オーストラリアをよく知っている人に話すと、
これは決して珍しいことじゃないと言います。
自分と他人を比べないとか、
自己肯定感を高めるとか、
そういうことって、もちろん受ける教育のスタイルによっても影響を受けると思いますが、
何よりも、国全体の文化背景が大きく影響しているんだろうなということを目の当たりにするとても印象深い出来事でした。
前向きに次回に備える長女
この日のことがあまりにも感動的だったことと、
長女の頑張りを夫にも電話して話しました。
そこで、夫も長女に直接メールで「頑張ったね!」ということを伝え、
海での泳ぎ方のコツを解説した動画のリンクを送ったそうです。
長女は一生懸命それを観て、真似していました。
次回は今日よりも1mでも長く泳げるといいね。
娘の年齢で、Nippersに今季から参加している新メンバーはたくさんいましたが、
海で泳げずにボードで戻ってきてしまったのは娘だけだったように思います。
それでもコーチのおかげで、周りと自分を比べて焦っている感じは見受けられなかったので声のかけ方やその場の雰囲気作りって本当に大切なんだなと、私も勉強になりました。
ビーチから帰る時も安全確認の理由で、必ずサインアウトするように言われていたのですがどこですればいいかわからずに迷っていました。
長女にスタッフの人に自分で聞きに行くように言うと、誰に聞いたらいいかわからないとか、
みんな誰かと話してて聞けないとか何度も私のところへ戻ってきました。
でも私は、何度も行かせました。
もちろん「ママに聞いてきてほしい」とはっきり言われたら私が行こうとは思っていましたが、ここでは子供が自分で動くことがとても大事に思えたんです。
何度も出戻りを繰り返して、やっと一人のスタッフに聞くことができました。
私は少し離れたところから見ていました。
すると戻ってきた長女が
「ビーチでサインアウトしてこなきゃいけなかったみたい。
でも今日は代わりに伝えておいてくれるって。
質問してくれて良かったわ!って言ってくれて優しかった。」
と。
自分で聞くことができて、その自分の一歩踏み出した勇気に対して
「聞いてくれて良かったわ!」って言われたら、それはもう嬉しいですよね。
とても胸がいっぱいになったNippers初日でした。
さて、今週末は次女も始まります。
どうなることやらです!
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